逢いたいよ今どこに

作詞 松井達人
作曲・編曲 野々田万照
歌 松井達人

1
夜のしじまに 消えゆく灯り 
北風が 吹いている
かわいた風に 乗って来たのは
親父の涙声

いつかは果てると 知っていたけど
去り行く命 止められず
母さんごめんね 弱い男の
切ない時でした

何故に 僕らを残し
寒空に 消えて しまったの

逢いたいよ 今どこに
あの頃のように笑ってよ

降り積もる雪 踏みしめながら
凍てつく心を 抱いて欲しい

2
夜の帳に 降り続く雪
北風が 頬を打つ
白い煙に 揺れるろうそく
涙で消えかけて

貧しさゆえに 治療でさえも
受けられない 悔しさに
母さんごめんよ 弱い男の
悲しい時でした

何故に 僕らを残し
雪空に 消えて しまったの

逢いたいよ 今すぐに
あの頃のように叱ってよ

冷たい体 寄り添いながら
奇跡を待つのよ 夜明けまでに

逢いたいよ 今どこに
あの頃のように話してよ

降り続く雪 見つめながら
悲しみは溶けるの いつの日にか


解説

母危篤の一報が入ったのは寒い冬の夜でした。
「酸素マスクを取り付けた」震える父の声、その1時間後に母は亡くなりました。59歳でした。
何も良い事がなかったであろう母の人生、この世は平等ではない、ぶつけようのない憤りを抑えるのに必死でした。
翌朝、通勤ラッシュに揉まれながら東京駅まで行き新幹線に乗る、終始無言で気の重い旅。
名鉄岐阜駅で降り始めた雪は、郡上に着いた時には積もり始めていました。
寒い夜、布団に寝かされた母に寄り添い、もしかしたら目を開けるのではないかと思い夜明けを待ちました。
翌朝、揺れるろうそくの下で動かないままの母の姿を見て、奇跡は起きなかったと知った瞬間涙が流れてきました。
この歌は危篤の一報のあと帰郷、実家に着いてから葬儀が終わるまでの心境を詩に書いたものです。
遠方とはいえ直ぐに駆けつけることができなかったこと、病気療養中は毎月見舞いに帰ってはいたものの、お金がなく大きな病院で治療を受けさせることができなかったこと、悔やんでも悔やみきれない当時の思いを歌にしてみました。